ma cherie *マシェリ*




髪を結って、浴衣を着付けてもらって……

準備が整ったあたしは、マヒロさんのいる居間に向かう。


だけど、その足が止まった。


居間からは、お父さんの声がしたから。


まさかと思って、そっと覗きこむと、お父さんとマヒロさんが縁側に座っていた。



うそ……。

これってマズくない?


また何か失礼なこと言っちゃうんじゃないかと、足を一歩踏み出したその時、


「さっきは、すまなかった……」


思いもしなかった言葉がお父さんの口から出て、あたしは足を止めた。

< 221 / 278 >

この作品をシェア

pagetop