ma cherie *マシェリ*
そしてまた庭の方を見ながら言う。
「言葉で伝えるのは難しいな。
……身近な存在……親子なら、なおさらだ……」
「そうですね。でも、そういうとこ、似てますね。二人」
「似てる? 僕とサキが?」
「ええ。似てますよ。
最初はお母さん似だと思ってたんですけど。
やっぱりお父さんにも似てます」
「そうか……。似てるか……。
マヒロ君、僕はどこかでボタンを掛け違えたのかな……」
「それはオレにはわかりません。
けど、もしもそうだとしても、いつでも掛け直せますよ」
なんでもないことだよ……そんな口ぶりでマヒロさんは言う。
お父さんは一瞬驚いたような顔でマヒロさんを見て、フッと口元を緩ませた。
「キミはちょっと親父に似てるな」
「え? そうですか?」