ma cherie *マシェリ*
たしかに。

3対1でケンカしても負けは見えてる。



「ふーん、ものわかりの良いおにーさんだねー。タッパあんのにねー。
女の前なのにそんな弱腰でいいのー? 嫌われちゃうよ?」


金髪の男がマヒロさんを見上げてからかうように言う。

彼とマヒロさんの身長差は15センチ以上ありそう。


挑発されても、表情を変えないマヒロさん。

だけど、ほんの少し口の端が上がった。


と思ったら、次の瞬間、その男の叫び声が響いた。


「うわあああああ」


見ると、シロップのたっぷりかかったカキ氷を、頭からあびせられていた。


「あ……」


と呟くマヒロさん。

ジッと自分の手のひらを見て


「ごめんね。ビビって、手がすべった」


全然悪びれる様子もなく言う。


「お前……なめてんじゃねーぞ!」


あたしの手首をつかんでいた男がそう叫ぶと、


あたしの手を放して、マヒロさんに向かう。


さらにはもう一人の男も。



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