ma cherie *マシェリ*
あたしが目指すのは、ユミコさんみたいな一流のパティシエ。


でも今はまだ、ユミコさんの背中すら見えていない。


ひょっとしたら、いくら頑張っても追いつくことはないかもしれない。



お父さんが言うように、夢だけで生きてはいけないのかな……。


それが現実?


あたしはまだ子供でほんとうの社会の厳しさもわかっていないの?


だけど、夢みることが力にもなる。


マヒロさんもあたしも……

全然方向が違うけれど


夢を持ってる。



それでもやっぱり夢は遠くて……


それは気の遠くなるようなずっと先にうっすらと見える光のようなもので。


この星のように手を伸ばしても届かない気もする。


なんてちょっと不安に思ったその時。



となりでマヒロさんの声がした。





「星がさ……オレらに降ってきそうだな」



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