ma cherie *マシェリ*
・雪の結晶
――――――――-
―――――……
仕事を終えたオレとサキは店を出て歩きだした。
「あ……」
手をかざし、空を仰いで呟くサキ。
「雪……」
オレも同じように空を見上げる。
吸い込まれそうな漆黒の闇から真っ白な粉雪が舞い降りてくる。
オレは視線をサキに向けた。
雪のように白いダッフルコートに身を包んだ彼女の姿が闇に浮かんで、そこだけがリアルじゃないような気がした。
あの日キッチンで見たのと同じように、彼女の周りだけ優しい光で包まれているような、そんな錯覚すら起きる。
この世に天使が存在するとしたら、ひょっとしたらこんな姿をしてるんじゃないだろうか?
なんてバカな考えが頭をよぎって、オレはなぜか無性に恥ずかしくなってきた。
オレの視線に気付いたサキが急にこちらを向いた。
そのせいでオレの心臓はビクンと跳ね上がった。
「マヒロさん、ありがとう」
「何が?」
「色々と……」
そう言うサキにオレは体を近づけた。
「じゃ、お礼もらっちゃおうかな」
「え……」
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仕事を終えたオレとサキは店を出て歩きだした。
「あ……」
手をかざし、空を仰いで呟くサキ。
「雪……」
オレも同じように空を見上げる。
吸い込まれそうな漆黒の闇から真っ白な粉雪が舞い降りてくる。
オレは視線をサキに向けた。
雪のように白いダッフルコートに身を包んだ彼女の姿が闇に浮かんで、そこだけがリアルじゃないような気がした。
あの日キッチンで見たのと同じように、彼女の周りだけ優しい光で包まれているような、そんな錯覚すら起きる。
この世に天使が存在するとしたら、ひょっとしたらこんな姿をしてるんじゃないだろうか?
なんてバカな考えが頭をよぎって、オレはなぜか無性に恥ずかしくなってきた。
オレの視線に気付いたサキが急にこちらを向いた。
そのせいでオレの心臓はビクンと跳ね上がった。
「マヒロさん、ありがとう」
「何が?」
「色々と……」
そう言うサキにオレは体を近づけた。
「じゃ、お礼もらっちゃおうかな」
「え……」