ma cherie *マシェリ*
狭い玄関にあたしの叫び声が響き渡る。


「な……な……な……なんで裸なんですか!」


マヒロさんは裸で、腰から下にバスタオルを巻いているだけの姿だった。

いかにもお風呂上りって感じ。

まだ濡れたままの髪から雫が滴っていて、それがあたしの頬に落ちてきたのだ。


「はぁ? 反応おそっ! いまさらかよ!」


「とっ……とにかく、服着てくださいよっ!」


「はいはい」


マヒロさんは、パンツパンツ……なんて言いながら部屋の奥に消えていった。


はぁ……。

なんかマヒロさんといると調子狂っちゃうなぁ……。

あたしはマヒロさんが着替えている部屋の奥を見ないように、俯いてため息を吐いた。
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