ma cherie *マシェリ*
心臓がバクバクと暴れてどうにかなってしまいそうなあたしをよそに、二人の会話はまだ続く。



「うわっ、最悪や。 オレ、もったいつける女って一番苦手や。男の部屋入ってヤラせへんってどういうことやねん」


「さぁな。オレもよくわかんね」


――シャッ


カーテンが開いて中から制服に着替えたマヒロさん達が出てきた。


マシェリのホールスタッフの制服は、白いシャツに細身の黒いパンツに、タブリエと呼ばれる黒くて丈の長いエプロンを腰から巻いている。


この制服って、カフェではよくみかける格好なんだけど、男の人をかっこよく見せるんだよね……。


パリッとした白いシャツは悔しいぐらいマヒロさんに似合っていた。


「で? で? で? どんな女なん? 昨日のお相手は?」


二人はあたしの前を通りながらまださっきの話の続きをしていた。


「胸、でかいん?」


な……何を訊いてるんだ望月君ってば!

朝から刺激が強すぎるってば!



「胸は……」



そこでチラりとこちらを見たマヒロさんと目が合った。


「さぁ……どうかな。でかくはないんじゃない?」
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