ma cherie *マシェリ*
その日の仕事を終えたあたしは、事務所にいた。

明日お休みをもらったので、シフト表に記入するためだ。


従業員のシフトは壁に吊るされているホワイトボードに書かれている。


あたしはペンを手に取ると自分の欄に【休み】と書いた。


「あれ? サキちゃん、明日休みなん?」


いつの間にかすぐ横に望月君が立っていた。


「はい。急にお休みもらったんです」


「そうなんや。あ……それやったら一緒にどっか行かへん? オレも明日休み……」


――ドカッ

まさにそんな効果音がしそうなほどの蹴りが、望月君の背中にクリーンヒットした。



「いっ……てぇ……」


背中を押さえながら床にうずくまる望月君。


「だ……大丈夫?」

望月君に声をかけるあたしの頭上から低い声が響いた。


「望月、明日、休み代われ」


そう言って、あたしの手からペンを奪い取ったのは……


マヒロさんだ。


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