ma cherie *マシェリ*
「もう! いきなりふいうちはずるいですよ!」


あたしも負けじと雪の玉をつくる。


二人でキャーキャー騒ぎながらしばらくお互いに雪をぶつけあって遊んだ。

だけど、雪国育ちのあたしの方が断然有利だった。

マヒロさんは雪に足をすくわれてその場で倒れ込んだ。

肩で息をして、ゼェゼェ言ってる。


「くそぉ……雪の上って上手く動けねぇ……あー、疲れた」


マヒロさんはそのまま大の字になって雪の上に寝転んだ。



「体力なさすぎですよぉ。大丈夫ですか?」


あたしはそんなマヒロさんの顔を覗き込んだ。



「大丈夫じゃない」


マヒロさんが手を伸ばしてあたしのマフラーを両手で掴んだ。

そしてそのままあたしを引き寄せる。


「マヒロ……さん……?」





「サキぃ……キスして」
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