ma cherie *マシェリ*
思わず声を荒げてしまい、慌てて口元を覆う。


マジかよ……?

確かに彼はここんとこ急に頻繁に店にやってくるようになった。


でも……。


「ありえないだろ。いくらなんでもあんな美少年がサキなんかを相手にするわけねぇだろ?」


なんて余裕ぶっこいて笑ってみせたが、実は内心穏やかではなかった。

さっきから心臓がバクバクと煩い。


「オレも最初は信じられへんかってんけど……」


なぜか急にそこで望月は表情を曇らせた。


眉間に深い皺をよせて、真剣な眼差しでオレの目を見つめる。


「あんな……。ショック受けんとってな」


「ああ……」


オレはゴクリと生唾を飲み込んだ。


「見てん」


「何を?」




「二人が一緒に街歩いてるとこ」
< 99 / 278 >

この作品をシェア

pagetop