一番星 -惑星ショコラをもう一粒-




「ごめん。せっかく選んでくれたのに」

「……」

「星花の手作りをもらえると思ってたから、つい。
こんな時くらいしか星花の手作りなんて食べられないから」



髪をするりと撫でられた。

何度も梳かれると、くすぐったいけど気持ちいい。



「いや、です」

「なにが?」

「久しぶりに先輩と会えたのに、こんな風になっちゃうの……やだ」



髪にキス。

何度も何度も。



あたしのせいだってわかってるのに、自分じゃどうすることもできない。

ただ、泣きそうになってしまう。



「うん、じゃあチョコ食べよう。
星花も一緒に食べるだろ?」

「あたしがあげたのに……?」



まぁ、いっか。

先輩が嬉しそうだから。

気持ちを言える、距離だから。






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