一番星 -惑星ショコラをもう一粒-




白い紙袋から箱を取り出した。



黒くて細長い箱には同じく黒いリボン。

だけど、暗い印象にならないのは……。



ガイアに木星、太陽、クロノス、マーキュリー……たくさんの惑星が描かれてある。



中に入っているのも当然惑星ショコラ。

直径三センチほどの半球体。

八つの味の八つの惑星が一列に並んでいた。



「これ……」

「あたしはいまだに惑星の名前も星座もそんなに覚えてない。
星なんて好きじゃないです。
だけど……先輩は好きでしょう?」



あたしの一番星、先輩が好きなものだから。

先輩の大切なものだから。

あたしだって大切にしたいし、喜んでもらえるならあたしの『好きじゃない』なんてどうだっていいの。



「ありがとう、星花」



目を見開いたあと、子供みたいに無邪気な笑み。

わくわくと。ドキドキと。

彼の心が動いていることがわかるこの表情……うん、あたしこれが見たかったの。






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