一番星 -惑星ショコラをもう一粒-
「……意地悪」
「美味しかったよ」
それはチョコレートですか。
それとも……。
こ、これ以上考えるのはやめておこう。
「ね、先輩」
まだ息切れしたまま。
だけど恥ずかしさから言葉を紡ぐ。
何度したってキスのあとは恥ずかしいんだもん。
「バレンタインなの、に、家でいいん、ですか?」
街はピンクとブラウンというなんとも素敵な色で溢れているのに、なんの変哲もないあたしの藍色の部屋。
そんなわざわざこんなところに籠らなくたっていいし。
「星花は家にいるのいや?」
「やじゃない、です」
「よかった。
僕はふたりっきりがよかったんだ。
それに家って特別な感じしない?」
「……それ、あたしも思ってました」
ほんと? ってそんなに喜ばないで。
胸がうるさくて仕方がないから。