一番星 -惑星ショコラをもう一粒-
「あ、でもやっぱり後で出ましょう。
それで買い出し手伝って下さい。
手作りのもの、食べたかったんですよね。
晩ご飯作りますから」
どうせ今日は元々あたしがご飯を作る日だ。
ひとりくらい増えていたって構わないだろう。
目を逸らして、結局一度も口をつけていなかったミルクティーに目をやる。
うーん、すっかり冷めちゃったなぁ。
「じゃあその前にもう一粒食べていい?」
そう言ってチョコレートをあたしに見せた。
それを口にしたら、また先輩はあたしに……キスをするんだ。
それがわかっていたって、あたしに拒否なんてできない。
むしろ、食べ終わったらきっと今度はあたしから言ってしまうんだ。
「惑星ショコラをもう一粒」ってね。
fin.