監視恋愛
カメラに映った男はシャツにカーディガンを羽織った落ち着いた雰囲気のイケメンだった。
〝今日は結構進みましたよ。ほら、見て?偉いでしょ〟
ノートを広げながら美咲さんの声も心なしか弾んでいる。
〝お、凄いな。頑張ったね〟
そう言って頭を撫でるイケメン。
何故かこの男、気に食わない。
気安く触んなよ。
〝先生、早速なんだけど教えて欲しい問題があるんです〟
先生?
この男は家庭教師か。
〝どれどれ。見せて?〟
密着する2人。
教師と生徒の関係にしては近過ぎる距離感。くそ、離れろ。
〝ニャーオ〟
俺の念を感じとったかのように2人の間を割って入るクロロ。
よしよし、いいぞ!もっとやれ!
〝あれ、美咲ちゃん、猫飼ったの?〟
〝先生、猫が好きって言ってましたよね?この前飼ったばかりなんです〟
そう言って笑う美咲さんの笑顔に僕は長い眠りから覚めたような感覚に見舞われた。