監視恋愛
茂みを潜り植え込みの葉っぱを掻き分けた先にはベランダがあった。
排水パイプを伝い塀を乗り越えながらも、自分のアクティブさに自分で驚いた。
一体何が僕をこんな風にしたのか。
恐らく、
それは淡く歪んだ恋心。
猫の為にと開けっ放しだった窓から侵入すると部屋の隅に追い込んだ美咲さんをスマートフォンで撮影している変態家庭教師。
背後から思い切り突き飛ばして美咲さんの腕を引き寄せた。
「う、動いたら警察呼びますよ!」
無我夢中だった。
必死だった僕は丸腰の上携帯も何もない。
警察を呼ぶなんてハッタリだ。
「よ、陽太君…どうしてここへ?」
ヤバイ。
後で言い訳考えとかなきゃ。
「君は誰?邪魔しないでくれるかな?」
優しい口調で微笑んでいるが目がまるで死んだ魚だ。狂気すら感じる。
「あ、あの。スマホ、落ちてますよ。」
そう言って家庭教師が床に落ちたスマホに気を取られた瞬間、玄関まで一気に駆け抜けた。