監視恋愛
沈黙の間が持たず立ち上がるとジーンズのポケットに入れっぱなしだったシワクチャのハンカチを公園の水道で濡らしに行く。
無意識に跪いて美咲さんの足を拭こうとすると、
「なんか、お姫様になった気分。」
そう言って、この日初めての笑顔を見せてくれた。
盗撮じゃ笑顔なんて滅多に見られないけれど、美咲さんはやっぱり笑顔が1番可愛い。
嗚呼、そうだ。
僕はこの笑顔に恋をしたんだ。
もうレンズ越しに眺めているだけじゃ満足出来ないところにまで来てしまった。
だけど僕には美咲さんに触れる資格なんてない。
衝動をぐっと堪えて美咲さんの足を拭くと、くすぐったそうに足をバタつかせて笑う美咲さん。
あんまり動くとまたパンツ見えちゃうよ?
…と調子こいた事は流石に言えず、僕は切ない恋心と小さな決意をそっと胸の中にしまい込むのだった。