監視恋愛
「君も猫が好きなの?…ねぇ、聞いてる?」
指摘され出会いから今までに無言だった事に気付かされた僕は、慌てて首を縦に振った。
「ね、猫は大好きなんだけど、ぼぼぼ僕のい、家では飼えなくて。」
「そうなんだ。実はこの子を拾ってあげたいと思って探してたんだ。」
女子と話した事がなくこれでもかという勢いで噛み倒した。
こんな美人を前にして緊張しないわけがない。
また噛み倒すのを恐れた僕は、クロロに話し掛ける事によって彼女に返事をする事にした。
「そっか。飼い主が見付かって良かったな、クロロ。」
ニャーと鳴いた後に数秒間の沈黙が流れた。
「この子、クロロって言うの?」
「あっ、こここれは僕が勝手に付けたあだ名っていうか、」
「君、噛み過ぎ!でもクロロって可愛い名前だねっ!」
楽しそうに笑う彼女の笑顔に僕はいとも簡単に恋に堕ちた。
これが、
僕の歪んだ初恋の始まりだった。