監視恋愛

薄暗かった部屋に明かりを灯すと美咲さんは辺りを見渡しカメラを探し始めた。


僕はこの世の終わりみたいな顔でその様子を呆然と見つめる事しか出来ない。


間も無くして観葉植物に隠したカメラが見つかり映像がグラグラと揺れ、画面は暗闇に包まれる。


〝…明日、返すから〟


この言い回しだと犯人は僕だって特定しているのだろう。


これは、もう…
告白する前に玉砕、だな…


大体、盗撮、盗聴した事実を隠して告白なんて虫がよ過ぎたんだ。


何故カメラなんて物を仕掛けてしまったんだろう。
今更嘆いても仕方ないけど後悔せずにはいられなかった。


この後すぐに盗聴器も見付かり、いよいよ死にたい気持ちになった。


〝明日、放課後、公園で〟


淡々とした口調で伝言を残し、ブチッという音と共に音声は途絶えた。


まるで、美咲さんとの繋がりまで切れてしまったような気がして絶望的な気持ちになる。


もうなにもかもお終いだ。
< 33 / 38 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop