あたしと寮と狼先輩。
『せせせ、せんぱい…近い、です…』
「凛ちゃん、ドキドキしてるね」
クスッと笑う楓先輩の息が耳にかかってくすぐったい。
というかなんなんだこの状況は…
恥ずかしすぎる…
あたしは先輩の顔が見れなくて自然と俯いていた。
だ、誰か助け------
「はーい、楓くんストップ。」
あたしの願いが伝わったのか、楓先輩の動きを止めてくれる人が現れた。
目の前から聞こえてきたのは藤間先輩声でも、桐原先輩の声でもない。
顔をあげてみるとそこにいたのは。
「あーあ。いいとこだったのに。」
『安斎先輩…!!!』
朝、体育館まで案内をしてくれた安斎先輩が満面の笑みで立っていた。