ちょっと黙って心臓
「千葉? 何してる」
「~~ッ」
突然背後から肩を叩かれて、心臓が口から飛び出すかと思った。
思わずあげそうになった悲鳴をなんとか飲み込んで、振り向いた先にいたのは──。
「つ、堤課長……っ」
「まだ残ってたのか。もう遅いんだから、早く帰りなさい」
仕事終わりだというのに出勤時と変わらずピシッとスーツを着こなしているその人は、我が総務部の直属の上司、堤課長だ。
堤課長は、すごくデキる人だし顔もかなりハイレベルだけど、仕事に対してめちゃくちゃ厳しいお方。
ダメ出しは、たしかに多い。でもそれは、決して理不尽な怒り方ではなくきちんと筋が通った意見で。上司としてこれ以上なく頼りがいがあるし、年齢問わず、彼を慕う人は多い。
……そして私も、そんな堤課長に密かに憧れている女子社員のひとりだったり。
やば、覗き見が知られたら怒られる……!と、慌ててドアを閉めようとしたけれど。
私がノブに手をかける直前、ドアの向こうの光景に気付いた課長が、一瞬目をまるくして。そして不機嫌そうに、切れ長の瞳を細めた。
「あいつら……後でシメる……」
「(ひい……っ)」
舌打ち混じりの呟きに、思わずすくみあがる。
だけど課長は、そのまま動こうとしない。疑問に思って、おそるおそる綺麗なお顔を見上げた。
「あのう……堤課長……?」
「いや、うん。なんかおもしろいな、こうやって他人がヤってるの見るのって」
「……!!?」
あごに片手をあてながらなんだかしみじみと言うから、思いっきり目を剥いた。
ちょっ、おもしろいってアナタ……!! ここは会社だし、あそこでにゃんにゃんしてるの部署は違えどあなたの部下たちですよ??!!
「~~ッ」
突然背後から肩を叩かれて、心臓が口から飛び出すかと思った。
思わずあげそうになった悲鳴をなんとか飲み込んで、振り向いた先にいたのは──。
「つ、堤課長……っ」
「まだ残ってたのか。もう遅いんだから、早く帰りなさい」
仕事終わりだというのに出勤時と変わらずピシッとスーツを着こなしているその人は、我が総務部の直属の上司、堤課長だ。
堤課長は、すごくデキる人だし顔もかなりハイレベルだけど、仕事に対してめちゃくちゃ厳しいお方。
ダメ出しは、たしかに多い。でもそれは、決して理不尽な怒り方ではなくきちんと筋が通った意見で。上司としてこれ以上なく頼りがいがあるし、年齢問わず、彼を慕う人は多い。
……そして私も、そんな堤課長に密かに憧れている女子社員のひとりだったり。
やば、覗き見が知られたら怒られる……!と、慌ててドアを閉めようとしたけれど。
私がノブに手をかける直前、ドアの向こうの光景に気付いた課長が、一瞬目をまるくして。そして不機嫌そうに、切れ長の瞳を細めた。
「あいつら……後でシメる……」
「(ひい……っ)」
舌打ち混じりの呟きに、思わずすくみあがる。
だけど課長は、そのまま動こうとしない。疑問に思って、おそるおそる綺麗なお顔を見上げた。
「あのう……堤課長……?」
「いや、うん。なんかおもしろいな、こうやって他人がヤってるの見るのって」
「……!!?」
あごに片手をあてながらなんだかしみじみと言うから、思いっきり目を剥いた。
ちょっ、おもしろいってアナタ……!! ここは会社だし、あそこでにゃんにゃんしてるの部署は違えどあなたの部下たちですよ??!!