ポケットにキミの手を
*
土曜の早朝、迎えにくると菫は一泊だというのに大きな鞄を抱えていた。
「そんなに荷物ある?」
「私、荷造りとか下手なんですよねぇ」
実家に行くのにこれでは、普段の旅行なんかはどうなるんだろう。
不思議に思いつつ荷物を後部座席に積み込む。俺のスーツも引っ掛けてあるので、後ろは完全に荷物席だ。
今日は旅行を楽しむということで、俺はポロシャツにスラックスというラフな格好、菫も動きやすさを考えてか珍しくパンツスタイルだった。
七分袖のカットソーは菫の体のラインを綺麗に見せていてとても似合っている。
「今日の服いいね。動きやすそうだし」
「ホントですか?」
「うん。色も良い。似合うよ」
首元には、キラリと光るペリドットのネックレス。
それを見ると結婚指輪を思い出す。菫からの意見も聞いて、デザインはほぼ完成した。
一応結婚への家族の了承を取り付けてから注文しようと、最終的なオーダーはまだしていない。
俺は一度決めるとすぐ動きたくなる方なので、早くあの指輪を彼女の指に収めたい。
そのためにも、明日の挨拶はしっかりしなければ。
車は好調に走り出し、高速道に入る。背の高いガードレールに覆われて景色が遮断されたので、途端に話題が途切れていく。
「菫、CDいれてくれる?」
「はい。どれにします?」
「菫が聞いてみたいのでいいよ」
菫は、後部座席に置いておいたCDケースに手を伸ばし、一枚一枚をじっくり見て選んでいた。
菫はしばらく悩んだ後、オリンピックのテーマソングになっていたものをかけた。
土曜の早朝、迎えにくると菫は一泊だというのに大きな鞄を抱えていた。
「そんなに荷物ある?」
「私、荷造りとか下手なんですよねぇ」
実家に行くのにこれでは、普段の旅行なんかはどうなるんだろう。
不思議に思いつつ荷物を後部座席に積み込む。俺のスーツも引っ掛けてあるので、後ろは完全に荷物席だ。
今日は旅行を楽しむということで、俺はポロシャツにスラックスというラフな格好、菫も動きやすさを考えてか珍しくパンツスタイルだった。
七分袖のカットソーは菫の体のラインを綺麗に見せていてとても似合っている。
「今日の服いいね。動きやすそうだし」
「ホントですか?」
「うん。色も良い。似合うよ」
首元には、キラリと光るペリドットのネックレス。
それを見ると結婚指輪を思い出す。菫からの意見も聞いて、デザインはほぼ完成した。
一応結婚への家族の了承を取り付けてから注文しようと、最終的なオーダーはまだしていない。
俺は一度決めるとすぐ動きたくなる方なので、早くあの指輪を彼女の指に収めたい。
そのためにも、明日の挨拶はしっかりしなければ。
車は好調に走り出し、高速道に入る。背の高いガードレールに覆われて景色が遮断されたので、途端に話題が途切れていく。
「菫、CDいれてくれる?」
「はい。どれにします?」
「菫が聞いてみたいのでいいよ」
菫は、後部座席に置いておいたCDケースに手を伸ばし、一枚一枚をじっくり見て選んでいた。
菫はしばらく悩んだ後、オリンピックのテーマソングになっていたものをかけた。