天使の贈り物
「ご無沙汰してます」
先に丁寧に頭を下げるのは、
翔琉さん。
「おぉ。
翔琉、元気で医者やってるか?
煌太、お前……成実と結婚したんだって?
成実、そいつが晴貴との宝物か。
口元が……似てんじゃねぇか?
目つきは、煌太そっくりだがな」
なんて好き放題言いながら、
マスターは、
メンバーたちに言い放題。
「そーすけさん?」
一人、腰を屈めて床を見つめる
そーすけさんを追うように、
私も隣に腰をおろす。
「あぁ、これっ」
目の前に広がるのは、
あの……夢を託した煉瓦たち。
「あぁ、それは捨てるなんて出来んよ。
俺にとっても宝物だからな。
今度はこの場所で、
夢を持つ奴らを見守って貰うさ」
3階建の建物。
震災前は、地下のみのステージだった
この店は、パワーアップして蘇った。
地下のメインホール。
これは変わらない。
新たに増設されたのは、
1階の喫茶店フロアー。
1階には喫茶店とコンビニの店舗があり、
2階、3階へ続く外階段。
外階段を上ると、
地下ステージよりも、もう少し小さな箱のLIVE会場が
顔を覗かせる。
メイン道路に隣接するように建てられた建物。
その建物に続く、芝生の庭。
芝生の青が続く一角。
赤い煉瓦がずらりと
並べられている。
その奥に立つ、小さなモニュメント。
未来のバンドマンたちの小さなモニュメントが
訪れるものたちを出迎える。