天使の贈り物
「ご近所さん、
いい人なんだな」
そう言った、そーすけさんに
小さく頷いた。
「焼け跡から、お父さんとお母さん
探し出して、連れて来てくれたの。
普通は……出来ないよ。
ご近所さんなんて、あかの他人だよ。
でも入院してた病院に、
連れて来てくれたの」
「そっか……」
そーすけさんの声を受けながら、
更地に飾られた花束に視線を向けて
ゆっくりと背中を向けた。
「行こっ。皆のところへ。
プレギエーラ、始まっちゃうよ」
この後も、手を繋いで
晴貴さんの実家まで戻って、
メンバーと合流したところで、
プレギエーラの会場に続く列へと並ぶ。
会場内には、
亡くなった人の写真だろうか?
写真を手にしてその時間を待つ人の姿や、
カップルの姿が目に付く。
メンバー全員、一列になって……
点灯開始時間を待ち、
周囲にパイプオルガンの厳かな音色が
響きだして間もなく、
綺麗なイルミネーションの光のアーチが現れた。
去年と同じように、
アーチをくぐり……
メインステージへと続く道を歩いていく。
思わず涙がこぼれてしまうほど、
思い出される……時間軸。
そんな時間を抱きながら、
ゆっくりとその光と音の中に体を委ねた。
お墓詣りに行くことすら叶わない、
美空さんのことを……
静かに祈りながら。