天使の贈り物
どっちも……
助けられなかったんだ。
間に合わなかったんだ……。
そんな俺が、
どうして……晴貴の歌い続ける
あのサウンドを聞いたらいんだよ?
もう……二度と、
戻ることのないその輝いた時間のサウンドを。
車内に鳴り響く、晴貴の声を聴きながら
必死に自分の意識を繋ぎ続けて
ようやく目的地近くのパーキングに車を入れる。
24時間1000円。
此処なら、飲んで置いて帰っても
明日、取りに来れるだろう。
「あっ、奏介。
着いたんだ」
「まぁな。
さっ、行くんだろ」
「うん。
けど、私まだ彩巴に連絡すらしてないんだけどね」
えっ?
連絡してないのに、
居酒屋って成実らしいと言うか、
晴貴らしいと言うか……。
そのまま行きたがってた
居酒屋に行くと同時に、
成実にはアルコールを注文。
おいおいっ、未成年だろなんて思いつつも
俺たちも、
人に自慢できることはしてこなかった。
成実に続いて、
俺もアルコールを注文する。
注文した品物が出てくる頃、
成実は携帯を握りしめて、
何処かへとかけはじめた。
*
「はいっ。
図星なわけね。
わかりました。
それより、今日はまだバイト?」
「ううん。
今日はもう終わったよー」
「そう、そりゃよかった。
だったらちょっと今からアンタも来ない?」
*
電話越しに零れる声を
聴覚が拾い上げる。