天使の贈り物
「ごめんなさい。
なんか……私、びっくりさせちゃって。
でも……なんとなく、人肌を感じられたら
落ち着くような気がして。
私も……
心因性の発作、時折起きるの。
そんな時……自分で自分を抱きしめて
体温を感じたくなるから。
だから……」
そうやって小さく告げた彼女。
彼女もまた、
心因性の発作が起きるのだと告げた。
何となく、その直後。
彼女の表情がかげったのが、
俺と同じ匂いを感じた。
彼女もまた、
大切な存在を
見失ってしまったのかもしれないと……。
同じ傷の少女との出会いが、
少しずつ俺の時間を動き出すのかもしれないと
そんな想いにかられながらも、
動き出そうとする時間に、
罪悪感を覚えずには居られなかった。