天使の贈り物
彩巴ちゃん。
彼女と関わるのは怖い。
必死に閉ざし続ける俺自身の時間を
彼女はいとも簡単に動かしてしまいそうで。
だけどこれを逃してしまうと、
前に進むことも出来なくなりそうな
予感もあった。
だから……悩みに悩んで、
連絡先を交換したあの車内。
だけど、そんな行為すら
今となっては、戸惑いを覚える。
これで……
良かったのだろうか?
そんな僅かな行為も、
美空に対する裏切り行為みたいにも感じられて。
そんなもやもやから逃げるように
ベッドに横になって、
美空がStrawberryfields【ストロベリーフィールド】を歌うアルバムを再生する。
部屋の中を包み込むのは、
美空の透き通った高音ボイス。
シンセの電子サウンドの音色が静かに響いて、
水滴がポタリポタリと落ちたその直後から、
歌い始める、アイツの代表曲。