天使の贈り物 


突然、晴貴が突きつけた歌詞に
俺たちは、アイデアを出し合ってメロディーをつけた。


俺たちの共通のバンドでもある
「K」の影響をバンバンに受けたオリジナル曲ではあったけど
その一曲から、俺たちの夢は広がっていった。



高三の卒業式の後。

晴貴は、俺たちのオリジナル曲を持って
LIVEハウスにオーディションに行きたいと言いだした。




大学の進学が決まっていた俺や晴貴。
専門学校に行くことが決まってた煌太、悠生。
医大に合格していた翔琉。



それぞれに、当たり障りのない進学の未来はあったものの
翔琉以外は、やることが思いつかないで辿りついた
未来でしかなくて、俺たちはその晴貴の夢を追いかけ始めた。






春休みの間に、必死にスタジオを借りてレコーディング。

そうして完成したデモを手にして、
LIVEハウスのへと俺たちは辿りついた。




煉瓦に囲まれた
こじんまりとしたライブハウス。



よく見ると、その煉瓦の一枚一枚に
バンド名らしき文字と、
サインらしきものと決意みたいな想いが綴られている。




そんな煉瓦を見つめて
俺たちは、地下へと降りる階段をゆっくりと進む。



そのままドアノブに手を添えてドアをあける。




「すいません。
 お電話でお話しした、NAKED BLUEです。

 デモ持ってきたんで、聞いてください」




晴貴がマスターらしき人と会話をしている間も
俺は、ステージでゲネをしている
女の子二人組が気になって仕方なかった。


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