天使の贈り物
「何やってんだよ」
そのまま彩巴ちゃんを抱きかかえると愛車の助手席へと
乗り込ませる。
そのまま車内から、翔琉へと連絡を取って
アイツを俺の自宅へ呼び出した。
自宅に辿りついたのと同時くらいに、
休みだった翔琉が姿を見せる。
そのまま彩巴を抱えて、
ベッドへと運ぶと、そのまま躊躇なく服を脱がせて
俺の服へと着替えさせた。
着替えせた後は翔琉にバトンタッチ。
翔琉が処置をしている間に、
彩巴の下宿先の女将さんに連絡をして
高熱で倒れていたので、
今日はこちらで様子を見ることを伝えた。
何度もアイツの眠るベッドを覗きながら
様子を見て、
そのまま晴貴の部屋へと
翔琉と今後の話し合いを続ける。
医者としての立場で、
今の俺の状況を一番よく知る翔琉。
そして、親友として成実たちの気持ちも
一番よく知る存在。
「奏介、起きなよ。
ほらっ、彩巴ちゃん目が覚めたよ。
熱も下がったみたいだし、
もう大丈夫だよ」
話し合いを続けながら、
俺は何時の間にか、
ウトウトとしてしまっていたようで
翔琉の呼び声に目を覚ました。
「悪い……翔琉も休まないと」
「俺としては、
少しでも休息をとってくれる方が安心だけどね。
本当は起きるまで寝かせて起きたかったけど、
彩巴ちゃんが目覚めたらそうは行かないだろ」
そう言って再び、彩巴の眠る俺の部屋へと向かう。
チラリと晴貴が愛用していた置き時計に視線を向けると
一時間くらい眠っていたようだった。
翔琉の後をついて歩くように、
俺の部屋へと立ち入ると、
そのまま彩巴の髪にそっと指先を絡める。