天使の贈り物
【回想】
「奏介……」
ふいに夜中に電話が鳴り響いた。
ようやくスタジオの缶詰から解放されて、
メンバーの奴らと、打ち上げにでも行こうかと
思っていた頃だった。
メンバーの奴らに断って、
電話に出た時、美空の声は泣き崩れていた。
涙に濡れた声は、
思うように会話が繋がらない。
「今、何処?」
溜まらなく愛おしくなって、
俺はすぐに美空の元へと飛び出す道を選んだ。
「マスターの店」
小さくそうやって告げた美空。
「待ってろ。
すぐに行くから」
美空との電話をきると、
メンバーに理由を離して、
打ち上げには出れなくなったことを告げた。