天使の贈り物 




その途端、
晴貴は「打ち上げなんて、後日でもいいんだよ。
悠生、翔琉、悪い。俺、コイツ送ってくわ」
そう言って、メンバーに告げると
愛車を転がして、
俺をマスターのLIVEハウスの方へと送り届けた。



マスターの店といっても、
すでにLIVEは終わって、
シーンと静まり返った商店街の裏通り。 



街頭すら殆ど消えてしまったその場所に
足を向けると、入り口で美空は座り込んでた。




「美空、遅くなって悪い。
 晴貴に送って貰ったんだけとな」



そうやって近づくと、
美空はただ黙って首を振った。


近づいた美空の足元には、
俺たちが夢を託したように、
煉瓦が埋め込まれていた。



「それは?」

「うん……。
 私とアリサの夢だった」



夢だった?



過去形?

美空の話し方が気になる。



「だったって……。
 美空?」

「今日、strawberryfields解散したの。
 アリサがロンドンに行くことが決まったから。
 これ以上、続けられない……。

 この道って厳しいよね。

 ようやく道が開けると思ってたのに、
 後少しで、メジャーに辿りつけるって思ってたのに」




そう言うと、美空は再び俯いたまま
煉瓦を指先で撫でるように触れた。
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