天使の贈り物
3.告白
あの日から時間が許す限り
そーすけさんと逢うようになった。
バイトのない日、大学が終わった後に
時間を見つけて夜のドライブに出掛ける。
夜のライトアップされた夜景を見つめながら
軽く……車を流して、
あの悠生さんの喫茶店まで。
そこで……少しお茶をして、
また夜景を見ながら車を走らせる。
会話って言うほど、会話も続けられないのに
隣に居るだけど、
ドキドキしてる私がそこに居て……。
一日、一日……
そーすけさんと逢う時間が過ぎていくたびに
そーすけさんのことが気になって
そーすけさんをもっと知りたくて。
それでも……
一歩を踏み出せないのは、
私が臆病だから……。
『恋』って言うものに憧れるだけで、
本当の『恋』って
言うものを知らないから。
車を走らせる、
そーすけさんの横顔を助手席から
じーっと見つめる。
何も言わず、見つめ続ける
私の肩に、
前を向いて運転したまま……
左腕だけがゆっくりと伸びて、
私の肩に触れる。
そんな方に触れた手を、
両手で掴んで、
眠るように頭を預ける……。
そーすけさんの体温が
あったかくて……。
「どうしたの?」
赤信号で車を停車した途端、
そーすけさんの顔が、
私の方に近づいてくる。
それは……
唇が触れ合いそうになるほど
近づいてきて、
ドキドキしながら反射的に
目を閉じる……。
だけど……その日は、
それ以上、降り注ぐことはなくて
そのまま車が走り出すのを感じた。
車内に流れる
ロックが……やけに耳に付く。
泣くように、
掠れながら流れる
ギターの音色が心にしみて
そのまま溢れ出た涙を
必死に拭った。
泣けない代わりに……
その音色が泣いてくれてるの?
そーすけさんの表情は、
やっぱり……今も曇り続けて
時折、見せる悲しげな顔が
本当のそーすけさんのような気がして。
そう言う顔を見つめるたびに、
守ってあげたい。
包み込んであげたい……
そんな風に、
思ってしまう私がそこにいた。
思い切って……
手を伸ばして、
そーすけさんに顔に触れる。