天使の贈り物
俺の幸せ?
俺が幸せになるなんて、
許されるわけないだろう。
アイツ等を守ることすら
助けることすら、
出来なかった。
何も出来なかった無力な手、
無力すぎる俺。
そのまま壁に、
拳をぶつけて、よろめきながら
再び、グラスへと手を伸ばす。
何本も空っぽになった瓶を
床に転がしたまま
最後の液体を体内へと吸い込ませていく。
増していく鳩尾の痛みに、
体を折るように床に倒れると
そのまま意識が遠のいていった。
【回想】
その日、突如町をおそった
大地震は、震度8を告げた。
始発から動くことのない電車。
見慣れた景色がガラクタとなった
無残な姿。
何度も何度も携帯電話で安否を確かめたくて
コールするものの、
回線がパンクして繋がることはなかった。