天使の贈り物
その言葉を信じて、再び晴貴の元へと戻ると
アイツは無言のまま、発見された。
アイツの見つけ出された傍には、
汚れてボロボロになった五線譜らしき
紙切れと共に……。
晴貴の傍に居続けたいと望んだが、
バンド活動をよく思ってなかった
晴貴の母親にとって、
俺たちの存在は、悪友でしかなくて
傍に居ることは許されなかった。
『貴方たちと出会わなければ、
うちの晴貴がこんな目にあうことはなかった……』
蔑むように告げられた
アイツの母親の言葉。
アイツの親族らしい存在に
厄介手払いされるように、
俺たちは晴貴の傍から追い出された。
ただ一人……
成実だけは何を言われても、
晴貴の傍から離れなかった。
メンバーそれぞれにその場所で解散して、
俺は再び、美空の元へと戻る。
アイツが居たはずの病室に、
美空の姿はなく、別の奴が横たわっていた。
「美空?」
院内を探し回って、ようやく見つけた
アイツの母親。
『奏介君。
あの子、助からなかった……。
もう大丈夫だと思ったのに。
あんなに笑顔で笑っていたのにね』
そう言うと、おばさんは俺に微笑んで
ゆっくりと足をすすめる。
そこには真っ白い布に包まれたまま、
ストレッチャーに乗せられたアイツが永遠の眠りについていた。