天使の贈り物
近くの遺体安置所へと連れられた美空は、
そのまま火葬の順番を待つことになる。
亡くなった犠牲者は増えていくばかりで、
火葬場も追い付かない。
近隣の施設にも応援を頼んで、
自衛隊が遺体を運ぶために車やヘリを出す。
アイツが旅立った日から、
五日近くたった日、
美空の最期の時間は訪れた。
アイツの母親と二人、
手作りの棺に納められたアイツに
ゆっくりと手をあわせる。
喪服も何もなくて、
着の身着のままの状態で見送った美空。
数時間後、対面したアイツは
小さな骨壺へとおさめられた。
その翌日、
おばさんは美空を連れて、
日本を離れて行った。
彼女が消えた日……。
それは、
あまりにも呆気ない
時間だった。