天使の贈り物
目が覚めたら、
心配そうに俺を見つめる
彩巴が居た……。
思わず捕まえようと
手をゆっくりと持ち上げると
彩巴の方から俺の手を掴み取った。
「彩巴?」
「もう、奏介さん。
翔琉さんに聞いてびっくりしました。
ちゃんと私が傍に居ますから。
奏介さんが何をいっても、
私、美空さんと一緒に奏介さんの傍に居るって
決めたんです」
そうやって真っ直ぐな眼差しで見据えながら
告げる言葉。
成実が言う通り……。
プレギエーラの後、
こんなにも彩巴は強くなってたんだ。
彩巴が持つ、
前に足を踏み出し続ける強さを
見せつけられた気がした。
その日から、
彩巴は大学とバイトの合間に、
毎日、病室へと姿を見せてくれる。
入院を初めて、
二週間が過ぎようとしていた頃
ようやく主治医うから退院の話題が出始めた頃。
病室に姿を見せた彩巴を
帰したくなくなった。
面会時間終了のコールが鳴り響く中、
俺は彩巴を自分の傍へと引き寄せる。
そのまま翔琉の携帯へとコールをして、
アイツを病室へと呼び寄せた。
「奏介、貸しだから。
彩巴ちゃん、この際だから
とことん言いたいこと言えばいいよ。
彩巴ちゃんがずっと、
話せないでいることも含めて。
今日は、俺も出れるから。
バイトがないなら、悠生の店
一緒に顔出そう」