天使の贈り物
10.天使の贈り物
俺の退院の日。
翔琉や彩巴たちと一緒に姿を見せたのは、
煌太と成実。
そして、煌貴。
そのまま退院手続きを済ませると、
煌太が運転する車は、
悠生の待つ、峠の喫茶へと向かおうとしていた。
「悪い、煌太。
荷物置きたいし、少し自宅に寄ってくれるか」
「OK」
煌太はそう答えると、
車の進路を喫茶店とは逆側へと方向指示器を出した。
晴貴と過ごし続けた、
そのマンションの駐車場に車を滑り込ませると、
俺は、鞄を片手に部屋へと戻る。
『ただいま……晴貴。
ちょっとアイツラと出掛けて来るよ。
相棒を連れてさ』
アイツの部屋で小さく呟くと、
バンド時代からの相棒のギターを連れて
煌太の車へと戻った。
「奏介……。
嘘……私、マジ嬉しい。
煌太……」
成実はそうやって、
半泣きになりながら言葉を呟いた。
「問題は何処まで演奏できるかだから」
そうやって告げると、
彩巴は、珍しそうに俺の相棒をジロジロと見つめていた。
車は悠生の店へと進路を進ませる。