天使の贈り物
なのに……
どうしていいのかわからなくて、
そのまま流されるように、
そーすけさんとの時間に溺れてる。
飲み干したペットボトルをそのまま、
ゴミ箱に捨てると、
夜の道をとぼとぼ、
下宿先の居酒屋まで歩いていく。
その時、携帯電話が
バイブで振動を伝える。
★
成実
[sub] Re:
電話平気?
★
入ってきたメールを確認して、
そのまま電話帳から、
成実の番号を呼び出して
そのまま発信させた。
メロディーコールが流れて、
成実の声がすぐに聞こえた。
「もしもし。
彩巴、今どこに居るの?」
「近所のコンビニ」
「そっか。
ちょっとさ、
寄り道してかない?」
成実のいつもの言葉が
私を誘惑する。
「寄り道って?」
「あぁ、近くがいいなら
私たちが行ってもいいし。
ねぇ、煌太(こうた)」
煌太?
電話の向こう、
聴きなれない声と、
名前が聞こえる。
「ねぇ、成実。
煌太って誰?」
思い切って尋ねる。
全く知らない人だったら、
断る理由が出来る。
「あぁ、煌太はね
奏介と元彼の共通の友達」
「そーすけさんの?」
「そうそう」
「もしかして……
悠生さんとも?」
「えっ、彩巴……
悠生のとこ、行ったんだ」
電話の向こう、
何やら、成実は煌太さんと
そーすけさんの話で
盛り上がってて。
声をかけれるような状態じゃなくて、
電話を持ったまま、立ち尽くす。