天使の贈り物 




「何?
 その新鮮なリアクション。

 成実、この子面白いじゃん」

「こらこらっ。
 煌太、彩巴をからかわない。
 ったく、アンタそうだから
 彼女に逃げられるんじゃん。
デリカシーの欠片もないんだから」


バンバンっと煌太さんの背中をパワフルに叩く
成実も成実だと思うよ。


一気に夢からさめて、
現実に引き戻された私は
今さらと想いながら、
慌てて否定する。




だって……
まだ私の片思いでしかないから……。




私なんかが彼女だって騒がれたら、
そーすけさんが迷惑だよ。


きっと……。





そう思ったら、先ほどまでの
嬉しかった感情が、一気に凍りついていく。



すきま風が吹き抜けるように。




「彩巴?

 ごめん。
 煌太が余計なこと言って……」

「ごめん。
 もうてっきり、
 関係もあると思ってたからさ」




その言葉は
……程遠いよ……。






テーブルにあった……
薄い桃色の
液体ガラスを掴み取ると、
一気に流し込んだ。





「あっ、彩巴。
 それ……カクテル……」




そう言った成実の声が聞こえ終わる前に
喉元を通過していった初めてのお酒は
体をカッカさせていく。


心臓の音がバクバク、
大きく聞こえる。



何?


視界がグルグルしてる……。



「彩巴?
 アンタ、もしかして……
 カクテルで酔っぱらってるの?
 ダメなの?

 一杯じゃん……」



成実の声が遠くなっていく。




「酔っぱらってないもぉーん。
 
 あはははっ。
 もうすこしほしーい」



なんか自分でもよくわかせらない
テンションになってしまって
その勢いのまま、
他のグラスの液体を
グイっと掴んで飲み干す。



すると……今度は、カッカしてた
体温が急に冷えて行った……。



冷えて行ったと同時に、
悲しくなってきて、
涙が止まらなくなってくる。
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