天使の贈り物 




……私と一緒だ……。





違うけど……一緒だよ。





あの地震で……
成実も大切な人、失ったんだ。




私が家族を失ったみたいに。




「……成実……」



今にも震えだしそうな成実の体を
ゆっくりと抱き寄せて、
ギュっと抱きしめる。



「ごめん。
 成実……辛い思い出、
 話させて。

 ごめんね……」



謝ることしか出来ないまま、
ゆっくりと夜は過ぎていく。



灯りを消せない部屋で……
一つのベッドを二人で
使いながら……。



成実と共に、
暫くベッドの中で過ごすものの
私の方は眠れそうにない。



成実のあんな話を
聞いてしまったから……。




バンドって……言った……。




だったら、悠生さんも、
煌太さんも、翔琉さんもそして晴貴さんも
皆……そーすけさんのバンド仲間?



プロデビューが
決まってたほどのバンドなら、
有名だったと思うから
そーすけさんの周囲に、
人が集まってた理由もわかるような気がする。




成実の寝息が静かに聞こえだしたのを確認して、
私はベッドを這い出す。


手にはココアの入っていた
マグカップを持って。 




ドアの取っ手を下におろして、
その部屋から出ていくと、
リビングらしき部屋に続いていた。
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