天使の贈り物 




ベッドの上、寝返りを打ちながら
小さく体を丸める。




こんな時は……
もっと体温を感じていたい。



少しでも……
温もりが恋しいから。




毛布に丸まって、
体を小さく丸めながら
そのまま……体を預けていく。



重怠い体が、
ゆっくりと眠りの中に
沈んでいく感じがした。





ウトウトと眠りについて、
携帯の着うたで、
目が覚める。





無意識に手を伸ばして、
目をつぶったまま、
通話ボタンを押す。






「もしもし……」




小さく寝ぼけながら出た電話の向こう、
聞きたいのに聞きたくない、
その人の声がした。



「彩巴ちゃん。
 あれ、寝てた?」

「……あっ、はい……」

「ごめん。

 昨日の夜、なんか……
 俺、迷惑かけなかった?

 あんなに飲むつもりはなかったんだけどな」


苦笑いするような口調で、
小さく呟いた。



「大丈夫ですよ……」




大丈夫。


今は……
まだ夢を見ていたいから。




『みく』さんの名前は
私聞いてない……。


聞いてないから……
話す必要もない……。




「今日は逢える?」



囁くように
電話の向こうで紡がれた言葉に
私は即答で頷いた。





どんな形でも、
今は……そーすけさんと関わっていたいから。


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