天使の贈り物 



そんなことに気が付いた時、
何処までも……
私の世界が、
そーすけさん中心になってるのに気づかされた。




「あっ、いえ。
 奏介さんには、バイトって言っちゃいました。
 実際、バイトの日なんで
 その時間にはお店に入らないと行けなくて」

「そう。
 それで……彩巴ちゃん聞きたいことって?





私が聞きたいこと?



私が知りたいのは……」
私の知らない、
そーすけさんの世界。



そーすけさんを
助けたいから……。





ううん、そんなの……
大義名分に利用してるだけってことは
私が一番知ってる。



私がこれ以上、
不安になりたくないから……。







「私の知らない、
 そーすけさんを教えて欲しいんです。

 どれだけ一緒に寄り添っても
 そーすけさんは、
 私に本音を見せてくれないから。

 そーすけさんが、語れないなら
 私は……そーすけさんの過去を知る人に
 教えて貰って、そーすけさんを理解したいって
 思ったんです」







もっともっぽい理由が
サラサラっと口から紡がれる。





「ねぇ、彩巴。
 あのバカの昔話、教えてたら
 アイツ、説得してくれる?」




ずっと黙ってた成実が、
その口をゆっくりと開く。



「うん、説得するよ。

 私が責任もって。
 だから教えてよ」



重苦しい車内に、
響いた私の言葉。




「成実、感情的になるなよ。
 体に障るから」





成実を気遣う、煌太さんの言葉に
違和感を感じながらも
スルーを決め込んで、
自分の目先のことを優先させた。

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