天使の贈り物 





だったら……
あの日、私が死んで……
みくさんが生き残れば良かった。






そうすれば……
今も、そーすけさんは
みくさんの隣で、
にににこ笑って過ごせてる。








そうだよね……。






なんで……
私が生き残ったんだろう……。





私よりも、
もっともっと必要とされる人
居たはずなのに……。







降り続いた雨は、
何時しかあがって……
ふと見上げたら、
すれ違う人が、見下げるように
私に冷たい視線を向けていく。





……行かなきゃ……。





行かなきゃって、
何処に?




行くところなんて、
何処にもないのに……。







……行かなきゃ……。




再度、体の力を振り絞るように
手で柵を掴んで、何とか体を起こすと
ゆっくり立ち上がる。



ふらりと傾く体は、
柵にぶつかって……。




もう一度、その柵から体を離すと
ゆっくりとアスファルトの
歩道を彷徨うように歩き始めた。





「彩巴ちゃん」







ふと意識の向こう、
大好きな、
そーすけさんの声が届く。








幻聴?







もう真っ暗で……
瞼も重くて、
何もわからないよ……。




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