天使の贈り物 



……まただ……。




凄く切なそうに映る。





そんなそーすけさんの表情が、
空っぽになった私の心を
埋めてくれるような気がして、
彼に近づきたくなった。



「あっ、あの……。
 手、大丈夫ですか?

 薬っとかあるなら、
 私お水貰ってきますよ」



慌てて椅子から立ち上がって、
彼の方へと近寄る。



「ごめん。
 心配かけさせたみたいで……。

 心因性の発作なんだ。
 こうしてたら……
 時期に落ち着くから」



そう言ってまた黙り込んでしまった
彼の隣の席に座って、
軽く握りこぶしを作って気合を込めた手を
ゆっくりと開くと、
そーすけさんの手に、ゆっくりと重ねた。




冷たく体温がさがった
てのひらが、私の掌に触れる。




驚いたように、
私の顔を見た
そーすけさんも
そのまま、抵抗することなく
私に掌を預けてくれた。




痙攣し続ける、そーすけさんの掌が
ゆっくりと動きを止めていく。





私の掌の下、動きを止めたのを確認して
ゆっくりとその手をはなした。




「ごめんなさい。
 なんか……私、びっくりさせちゃって。

 でも……なんとなく、人肌を感じられたら
 落ち着くような気がして。

 私も……
 心因性の発作、時折起きるの。

 そんな時……自分で自分を抱きしめて
 体温を感じたくなるから。

 だから……」



何言ってるんだろ。

初対面なのに……。





そーすけさんが
寂しがってるように見えた。

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