天使の贈り物 





「煌太」
「煌太さん……」



二人近づくと、
煌太さんは、
少しだけ安心したように
私たちを見つめた。




「こんにちは。
 彩巴ちゃん」



ふいに背後から声をかけたのは、
翔琉さん。



えっ?

翔琉さん……
なんで……白衣姿?



キョトンとした私に気が付いたのか、
翔琉さんは、
にっこりと微笑み返した。




「びっくりさせたかな?

 ここ、俺……ここで医者やってるんだ。
 外科だけどね。

 少しだけ、
 時間出来たから様子見に来た。

 LDRだから、入っていいよ」



翔琉さんは、
そう言うとノックをして
静かに扉を開けた。


ベッドには陣痛が来てるのか、
顔を歪める、成実が居て
慌てて成実の傍に駆け寄ると
成実の腰をさする。



LDRで成実の状態を管理してる
助産師さんと看護師さんに声をかけて
何かを話すと、翔琉さんは
成実の元へと近づいた。




「後、もう少しかな。
 もうすぐ、逢えるな。
 晴貴の忘れ形見に……」



そう言うと、
陣痛で苦痛に歪んでた
成実の表情が、柔らかに微笑む。



そーすけさんは、
LDR室のソファーに座って
今と向き合ってるみたいで、
遅れて、
悠生さんが部屋の中に顔を出した。
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