天使の贈り物
「無理しないで……。
部屋、出ようか?」
小さく呟いた言葉に、
そーすけさんは、首を横に振った。
やがて成実が、破水をしたのを見届けて
煌太さんを残して、
私たちは、LDRの待合室へと移動した。
病院の関係者たちが、
部屋の中に吸い込まれていく。
今も……LDRには、
晴貴さんの声が響いていて
私も成実が頑張る部屋を見つめながら
心の中で静かに祈った。
……晴貴さん……。
私は貴方のことを
知らないけど成実を守ってください。
その後、暫くして……
赤ちゃんの泣き声が、
待合室へと響いた。
LDRに続くガラス越し、
待合室から、
駆け寄るように眺めたその先には
真っ白なタオルに包まれた命が
元気に泣いていた。
その景色を見て……
涙が溢れだす私がそこに居た。
病院スタッフたちが
出ていくのと入れ替わりに
入室したLDR。
生まれたばかりの
赤ちゃんを手元に引き寄せながら
お母さんの顔で微笑む
成実を見た。
「成実……
おめでとう」
ベッドサイドに近づいて、
微笑むと、
成実はにっこりと笑い返した。
「だけど……びっくりした。
私、成実が妊娠してたなんて
聞いてないんだけど……」
ベッドサイド、
準備して貰った椅子に
腰をおろして生まれたばかりの
赤ちゃんの頬に触れる。
「私も……
知らなかったの」
成実のその言葉に、
私は思わず、向かい側に居た
煌太さんと、LDRの室内にいる
メンバーの顔を順番に見る。