天使の贈り物
お兄ちゃん……。
お兄ちゃんは、
どうして逝っちゃったの?
あの暗闇の世界で、
ずっと支えてくれてた声。
『助けが来た。
彩巴、兄ちゃん……
先、行かせて貰うな』
私が助けられる前、
そうやって……
先に助けられてるはずなのに……。
病院のベッドで、再会した
お兄ちゃんは……
私に優しく触れて
一緒に泣いてくれたのに……。
目が覚めて起きたら、
もうそこに……
お兄ちゃんは居なかった。
私の手元に連れてられたのは、
小さくなった兄が眠る白木の箱。
そして……
近所の人が、焼け跡から
見つけてくれた……
ほんの少しのお父さんと、
お母さんの欠片。
助かって喜んでたお兄ちゃんを連れ去ったのも、
そーすけさんから、みくさんを奪った
クラッシュ症候群。
まさに……それだったから。
多分……、そーすけさんも
一度は助かった、みくさんと再会して
凄く喜んで嬉しかったんだと思う。
これからも二人で一緒に生きていけるって、
涙を流したと思う。
でも……神様はそんな二人を引き裂いた。
私から、
お兄ちゃんを奪ったみたいに……。