天使の贈り物
お店のテーブルに着くと、
成実は、煌貴くんを煌太さんへと預けて
私とゆっくりと向き合う。
悠生さんが、いつものように
レモンスカッシュと、
成実用のミルクティーをテーブルに置くと、
煌太さんたちの方へと離れて行った。
「ねぇ、成実……。
約束通り教えてよ。
嘘偽りない、二人をさ。
奏介さんと、みくさん
どんな二人だったの?」
乾く唇を誤魔化すように
何度も何度もレスカを口に運ぶ。
成実は鞄の中から1枚のCDを取り出して
私の前に置く。
「これは?」
「私の宝物。
ずっと……聴き続けてた、
晴貴の歌声」
NAKED BLUE。
そう記された黒いジャケットに
青色で綴られた文字。
裸の青?
「NAKED BLUE?」
「そう。
NAKED BLUE……。
それが晴貴たちが頑張ってた
バンドの名前。
ジャケットの一番後ろ、
覗いてみな」
そこには……小さな白文字で
CDを作るために関わった
スタッフさんたちの名前が
ずらずらと綴られてる。
その下の方……。
special Thanksのところに
綴られた、NARUMI,Mikuの文字。
視線で捉えた途端に、
そのMikuの名前を指先で辿る。