天使の贈り物
13.奏介
その日、急に召集にも関わらず
夜中に悠生さんのお店に姿を見せてくれた
メンバーたち。
入院している、
そーすけさん以外が集合した
その喫茶店のテーブルの前に
私はマスターから預かった宝物の封筒を
ゆっくりと置いた。
「これっ」
「あっ」
「懐かしい」
メンバーそれぞれが、
思い思いの感想を一言ずつ同時に吐き出す。
茶色の封筒に入っているものを
全て放り出す。
マスターの家で見た、
発売されなかったCDの他に、
いくつかのDVDが入れられてる。
そのDVDをノーパソの中に入れると、
ソフトが立ち上がって、
LIVEシーンの映像を映し出す。
ライトが差し込む決して広いとは言えない
小さなステージ。
暴れるようにドラム叩く煌太さん。
所狭しと客を煽りながら
激しいパフォーマンスを繰り出す、晴貴さん。
クールにベースを弾きこなす悠生さん。
黙々とギターを奏でる、そーすけさんに……
華やかな笑みを浮かべて、
時折ポージングを決めながら
演奏する、もう一人のギター・翔琉さん。
映し出された途端、
シーンと黙りこくって、
一斉の、その映像に視線が集中する。
「……有難う……。
彩巴が見つけて来てくれた。
これで……煌貴に、見せてあげれる。
アンタのお父さんは二人とも
輝いてたんだよーってさ」
時折、涙を流しながら
DVDの映像に、
晴貴さんが大きく映し出されるたびに
手を伸ばす成実を、
背後から優しく抱くように包み込む
煌太さん。