天使の贈り物 



会話はいつも当たり障りのない会話。



心の中に引っ掛かりを感じながら
当たり障りない
言葉しか出せなくなった。



そーすけさんの前では、
ありのままの私になれない……
そんな自分に違和感だけが蓄積していく。



「彩巴ちゃん……疲れてるの?」
 

だけど……
やっぱり……そーすけさんは、
こういうところは敏感で……。



「彩巴ちゃん、疲れてたら
 無理して来なくていいんだよ。

 こうやって来て貰っても
 彩巴ちゃんは、いつも上の空だよね。

 プレギエーラのあの日から……。

 俺の過去を知って、
 減滅したから?」




ベッドの上、呟くように
吐き出された思いがけない言葉に
思わず……手が出た。






バシーンっと、
気が付いたら……
そーすけさんの頬を掌で叩いてた。




叩いてしまった痛みが
チクリと戻って、
そのまま放心状態になったかのように動けない。


思考の働かないまま、
そーすけさんの頬を打ち付けた
掌を開いたり握ったりを繰り返す。





「彩巴……ちゃん?」




我に返ったのは、
そーすけさんが私の名前を呼ぶ声。




「ごっ、ごめんなさい。
 わっ、私……」



そのまま崩れ落ちるように、
ベッドサイドに座り込んだ。


後は……言葉なんて喋れなくて……。



涙腺が崩壊して溢れだした涙は
止まることを知らなくて。




泣き続ける私を包み込む
そーすけさんの温もりを感じながら
ひたすら……涙を流し続けた。


どれだけ時間が過ぎたかな?




面会時間終了を告げる
アナウンスが聞こえだした頃、
私はその場から
ゆっくりと立ち上がった。
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